歴史的な

2002年9月17日
日朝首脳会談。今迄の両国の経緯を思うと、それ自体は評価に値すべきものだと思う。しかしその結果は果たして成果と言えるものかどうか。

信じて来た。裏切られた。でも信じて来た。また裏切られた。
その繰り返しが、私にとっての北朝鮮という国。もう今回の事は、初めから信じてなどいなかったけれど。多くの在日にとっては、特に聡連系の人々にとっては、裏切られた思いが強いのだろう。

拉致。嫌な言葉だ。日帝支配時に多くの朝鮮人が強制連行されたのも、戦時下とは言え同じこと。その負の遺産が、在日である私達。
植民地支配によって分断された祖国の肉親達は、お互いに顔も合わせぬまま、消息も知らぬまま、沢山の人々が亡くなっていった。
いつか祖国が統一する日だけを夢見て。
毎日欠かさず写真に語りかけては涙を流し。待って。待って。待ち続けて。
そうやって亡くなっていった、一世の祖父母達。北朝鮮や、韓国の老人達。

拉致された人々の遺族や家族も、きっと同じ思いで信じて待って、待ち続けたに違いない。それを思うと、きゅうっと胃が締め付けられるようで、苦い思いが喉にこみ上げてくる。

拉致があったのは、丁度私が生まれた頃のことだ。そんな時代だったんだよ、では済まされないことだと多くの人が感じるだろう。
戦争も。そんな時代だった、では済まされない、済んじゃいけない。何かを引き合いに出して、取引はすべきじゃないし、もうそんな次元で話し合うべきじゃない。

過去はもう二度とは還らない。今すべきは、率直にお互いの政府が陳謝し、心から深く反省し、今後の両国の在り方について慎重に、友好的に、形式だけでなく行動を伴った働き掛けをすることだ。

それでも、今回のマスコミの情報操作によって、多くの人は北朝鮮に対する不信感、恐怖心を植え付けられたことと思う。手っ取り早くその矛先が向くところ、それは在日朝鮮人。何処へも行き場が無い在日だ。

朝鮮大学の従弟に、「それでも貴方は、金正日を信じますか?」という少々意地悪な質問をしてみた。
時代は変化する。生きている限り、変わらないものなど有得ないと思った方が賢明だ。何時までも独裁政権に固執している場合じゃない。北朝鮮を訪ねた人が口を揃えて言う、「あの国はあれで、仕方が無い」。
仕方が無いなんていう言葉で全てを放棄する様な怠慢は許せない。何かを待っていたって救世主は現れない。

変化を恐れずにいきたい。やらなきゃ、このまんまだ。ずっと。

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